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jazz night

さんふらわあ JAZZ NIGHT プロデューサー
大橋 郁がお届けする『KIND OF JAZZ』。
媚びないジャズにこだわる放浪派へ。
主流に背を向けたジャズセレクションをどうぞ。

第10回
The Bridge
Sonny Rollins



橋(ザ・ブリッジ)
ソニー・ロリンズ
撰者:松井三思呂


The Bridge
Sonny Rollins
【Amazon のディスク情報】

隠遁生活からの復帰作。お得意のピアノレス編成で、Jim Hallのギターを加えたカルテット。



After The Bridge
Sonny Rollins
【Amazon のディスク情報】

RCA時代の不評を吹き飛ばすアルバムで、ロリンズ節爆発。ソニー・ロリンズという音楽家が一貫して熱い魂を持ちながら楽器を奏で、その奏でた音楽に責任を持ってきたことが感じられる。


Sunflower Jazz Night
フェリーで揺れる、ジャズの夜。
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Volontaire
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カフェ&バー、ボロンテール

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ソウルでファンキーな夜を。
神戸元町のジャズバー、Doodlin'

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今回は「マンガ」の話から始めたい。私が「舶来音楽」を聴き始めた頃には、当然ながらダウンロードやYou Tubeといった代物はなく、今や死語と化した“FM放送のエアチェック”が盛んに行われていた。そのため、FM放送の番組表を中心とした情報誌が何誌か発行されていたが、そのなかで私のお気に入りは毎号「ライブコミック」が載っていた「FMレコパル」(小学館発行)。このレコパル誌のライブコミックはアーティストの伝記や逸話を題材に、石ノ森章太郎、松本零士、長谷川法世、ジョージ秋山、望月三起也といった著名な漫画家が描く一話完結の短編マンガで、テナーサックスの巨人Sonny Rollinsを知るきっかけも、このライブコミックのひとつである「BRIDGE(橋)〜ソニー・ロリンズ」(石ノ森章太郎)であった。

ソニー・ロリンズは2011年現在80歳、プロのジャズミュージシャンとしてのキャリアも60年を超えたが、現在も元気にライブ活動を続けている。彼のキャリアにおける3回の雲隠れは有名であり、石ノ森章太郎の「BRIDGE(橋)」は1959年8月から61年11月までの2回目の隠遁生活を題材としている。なお、1回目の雲隠れは1954年の秋から約1年の間、ドラッグと手を切るためであったらしい。
その後、ブラウン〜ローチ・クインテットを振り出しに、彼はテナー奏者としてハードバップの高みを極め、問答無用の大名盤「サキ・コロ」をはじめとして多くの傑作を産み出し、まさに人生の絶頂期にあったはず。

そんななかで、彼は忽然とジャズシーンから姿を消した。掃除夫で生計を立て、酒と煙草を断ち、ヨガやバラ十字会で精紳の鍛錬を行いながら、残りの時間はマンハッタンとブルックリンを結ぶウィリアムズバーグ橋でのサックス練習を日課とした。余談であるが、イーストリバーにはマンハッタンとブルックリン間に3本の吊橋が架かっている。下流からBrooklyn橋、Manhattan橋、Williamsburg橋で"BMW"と記憶するそうである。このなかでは、私が生業とする土木分野における歴史的価値や景観といった面からブルックリン橋が圧倒的存在で、約25年前にニューヨークを訪れた際にも、他の2つの橋よりブルックリン橋には強烈な印象を持った。ロリンズも最初はブルックリン橋で練習を始めたところ、人通りが多く集中できないので、ウィリアムズバーグ橋に移動したみたいだが、最終的にはそれもマスコミにすっぱ抜かれるところとなる。

雲隠れの原因は、Ornette Colemanが提起したフリージャズの衝撃、ColtraneやDolphyなどの急激な成長に対して、自分の音楽を見つめ直すこと。人気が上がって、乱れてきた私生活を叩き直すこと。演奏技術に更なる磨きをかけることなどと言われているが、ロリンズという人はつくづくストイックで、ナイーブな人なんだなと思う。まあ、音楽もさることながら、身体にもストイックであったからこそ、第3回のコラムで吉田さんが書かれているように多くの天才達が夭逝するなかで、80歳の今まで現役でいられるんでしょうね。

さて、前置きが長くなってしまったが、復帰作が「The Bridge」(RCA Victor LPM2527)。お得意のピアノレス編成で、Jim Hallのギターを加えたカルテット。この後1964年までに、RCAに双頭作を含め6枚のリーダー作を残す。私も全て聴いているわけではないが、この時期のロリンズは低調であるというのが定説である。前述の「Saxophone Colossus」(PRESTIGE 7079)、「Way Out West」(CONTEMPORARY3530)などの先行アルバムが凄すぎるということに加えて、RCA側がロリンズの意に反したテープ編集を行ったことが大きな原因であろう。

そんなRCA時代の不評を吹き飛ばすアルバムが、82年になって発売された「After The Bridge」である。なぜかお蔵入りになっていた未編集テープをアルバム化したものだが、ロリンズ節爆発でRCA時代の最高傑作かも。このアルバムを聴くと、ソニー・ロリンズという音楽家が一貫して熱い魂を持ちながら楽器を奏で、その奏でた音楽に責任を持ってきたことが感じられる。

最後に、東日本大震災からの一日も早い復興を祈りつつ、ロリンズの公式HPで見つけた我々へのメッセージを紹介します。

ロリンズのメッセージ:http://www.youtube.com/watch?v=H3eAi4r78Pk


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