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音楽コラム
平田憲彦
ジェフ・ベックが来た晴れの大阪フェスティバルホール
以下は、招聘元のウドーさんがウェブに掲載していたセットリスト。
たぶん大阪も同じだったと思う。
2014年4月4日(金)NHKホール
Loaded
Nine
Little Wing
You Know You Know
Hammerhead
Angel (footsteps)
Stratus
Yemin
Where Were You
The Pump
Goodbye Pork Pie Hat/Brush with The Blues
You Never Know
Danny Boy
Blue Wind
Led Boots
Corpus Christi Carol
Big Block
A Day in The Life
〜 encores 〜
Rollin' and Tumblin'
Cause We've Ended As Lovers
ツアー・メンバー
Jeff Beck(ジェフ・ベック)- guitar
Rhonda Smith(ロンダ・スミス) - bass
Jonathan Joseph(ジョナサン・ジョセフ)- drums
Nicolas Meier(ニコラス・メイヤー)- guitar
大阪は、4月16日(水)のフェスティバルホールだった。新しくなったフェスティバルホールは初めてだったので、ホールの美しさや観覧環境の良さにも驚いた。
しかし良いライブだった。
早い話がハードロックのボーカル抜きバンド、というサウンド。
1曲だけ、ベースのロンダ・スミスがリードボーカルをとったナンバーがあったが、タイトルは分からない。
セットリストのとおり、代表曲のオンパレードで、大満足だった。そりゃ確かに、『People Get Ready』はやらなかったし、『Superstition』もやらなかった。『Train Kept A Rollin'』もなかった。
そのかわり、ジミヘンの『Little Wing』をやってくれたのには、動揺してしまった。
これがベックバージョンの『Little Wing』か、と。
天才ベックが演奏すると、どんな曲でも素晴らしいサウンドになるわけだが、やっぱり凄かった。
クラプトンの時も感じたが、やっぱりライブを見るというのは、僕のようなアマチュアのギター弾きにとってとても刺激的だ。テクニックを目の当たりにし、ライブの運用自体も勉強になる。
今回驚いたのは、ギターとアンプを繋ぐシールドだ。
マーシャルのアンプとギターの間にエフェクターをかましていたが、そのエフェクターボードとギターを繋ぐシールドを、ギターを変えるたびに抜き差ししているのである。
ギターからいきなりシールドをズボッと抜いて、床に放り投げ、スタッフが持って来た別のギターを肩から提げて、さっきのシールドを新しいギターにズボッと差し込む。
これ、アンプの電源は当然入ったままで、ボリュームなどのつまみも、そのままの状態である。普通だったら、通電したままで、各種つまみもそのままでシールドを抜くと、大きなノイズが出たり、機材にダメージを与えたりする。なので、普通はシールドの抜き差しは慎重にやるものだ。
しかしベックは、とっても無造作にシールドの抜き差しを行ってギターを変えていった。
これは驚いたし、発見でもあった。そのようにシールドを操作しても影響を受けないシステムがあるわけである。
そんな、いろいろな事が分かるのがライブに行く楽しみでもある。
今回のジェフ・ベックを見たことで、ようやくぼくは『三大ギタリスト』全員のライブを見ることが出来た。
誰が一番良かったか、というような話題になりがちだが、三人とも僕は感動したし、そこに優劣も序列もない。
三人が揃ってステージに立った『アームズコンサート』のような奇跡を、僕はやっぱり見てみたい気もするが、それぞれのギタリストの単独ステージを見ることで、間接的にでも1960年代ロックの同時代性を共有出来ていることは間違いない。
そう考えると、僕の主な舞台であるグラフィックデザインというフィールドは、そういった『伝説のスター達』がコラボレーションするという機会は、ほとんどなかったなあと思う。
むしろ、天才達の表現がコラボされる環境というのは、もしかしたら、芸術分野では音楽だけなのかもしれない。
つまりそれは、『セッション』である。
音楽における『ジャムセッション』は、他の芸術分野ではとても実現が困難だ。
ここに、何かのヒントがありそうな気もするが。
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