美術書庫
アート・コラム
平田憲彦
草間彌生は問いかける
大阪、中之島で開催されている草間彌生展を見た。
圧倒的な作品群に飲み込まれそうになりながら、同行してくれた友人が一言つぶやいた。
『病も、突き抜けると作品になるんだ……』
絵を描くことがが生きることであるという草間彌生さんのコトバが、館内で上映されていたショートフィルムで語られる。
瞬きをせずに、一心不乱で絵筆を握る凄まじい執念。
病的なほど描く事への執着が、いまの表現者には必要なのだ。
着地点や仕上がりなどと言うきれい事ではなく、ただひたすらに描きたいという思い。そして、描くという行動。
あなたは、あなたのやりたいことをやっているか?
他人からなんと言われようが、結果など考えるのではなく、自分の心からわき上がる表現をしようと生きているか?
いま80歳になる草間彌生さんは、そう問いかけている。
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